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小値賀島へ 雪浦8人旅・・・その1:小値賀島の歴史と自然を中心に

「小値賀にはなんにもありません・・・

あるのは美しい海と、美しい暮らし。

そんな小さな島に 日本中から世界から 旅人がやってきます。

都会から小値賀に惚れこみ移住する人も後をたちません。」

 

「小さな島で」という 小冊子のあとがきの一節です。

いったい小値賀の何が人々の心をとらえるのか、いったい誰が、いったいどうやって・・・・、なぜ、この小さな島が輝きを放っているのか・・・

それを探るため、われらNPO法人雪浦あんばんね8人組の視察団、小値賀へ向けて出発しました。

10月15日(土)。9時20分 佐世保発の高速船シークイーンに乗り込みます。

今回の旅のメンバー、左から、渡辺美佳さん、渡辺督郎さん、久松美智子さん

左から、川添光蔵さん、川添晋作さん、中川和久さん、米山昭一さん、そして私 山田千晶の8人です。

高速船で、約1時間半。途中多少激しい揺れもありましたが、うとうととしているうちに小値賀島に到着。港では、NPO法人おぢかアイランドツーリズムの方が待っていてくれました。簡単に島の説明を受け、今回のスケジュールを確認しました。

二日目が雨らしいということで、初日に島を散策することにしました。「どこから来たね~」「西海市の雪浦というところからです。おばあちゃん、元気ですね~」「私、いくつに見えるね?」・・・・島のおばあちゃん、きさくに話しかけて来てくれました。

よそからの旅人に慣れているのでしょうか。おばあちゃんの笑顔に、こちらもふっと緊張がとけ、みんな笑顔になりました。

また、しばらく行くと、別の方が声を掛けてきてくれました。なんと、話してみるとメンバーの知り合い。さらに、びっくり!!9月に台風のためキャンセルになったこの視察。その時に行く予定だった民泊の方ということが分かりました。昼食後にお訪ねすることになりました。(民泊の濱元さんとのお話は、ー小値賀島へ 雪浦8人旅・・・その2:小値賀島の観光戦略を探るー)

まずは腹ごしらえ。昼食は、ふるさと というお食事処。

ボリュームのスペシャル定食。これで千円です。

お刺身の大きいこと、甘いこと。さすが島の魚は違います。

細い路地をぬって、まず訪れたのは、小値賀島歴史民俗資料館。

ここは、捕鯨で財を成した豪商 旧小田家。

小値賀は、火山が噴火して、溶岩が流れ出て出来た火山群島。それで、島は、なだらかで高い山がありません。海は遠浅で、広く広がる藻場は、海の生き物のゆりかごとなっています。そのおかげで、魚 涌く島。このアワビの殻の大きいこと!!

漁火漁でつかわれていたものでしょうか。美しい。

昔の台所。きれいに残されています。

小値賀島の歴史についても、たくさんの話を聞くことができました。

小値賀町は大小17の島々で形成されており、集落があるのはそのうち6つの島。小値賀島をはじめ、橋でつながった斑島(まだらじま)と黒島、定期船が通う大島、納島(のうしま)、六島(むしま)、そして野崎島。

野崎島は、南北6.5キロメートルの比較的大きな島で、かつては野崎・野首・舟森の三集落があり、800人以上の人々が暮らしていましたが、今は、無人の島となっています。この島には、たくさんの歴史と悲しい物語があります。

野首は、平地が少なく急な斜面ばかりで、住むには不便な土地。長い間、人は住み着かなかったそうです。19世紀初頭ごろ、キリシタンの2世帯が下五島を経由して野崎島に渡り、野首の地に住み着いたのが野首集落のはじまりだといわれています。その後、五島列島の各地から移住者が入り、キリシタン集落が形成されていきました。キリシタンへの弾圧を逃れての移住でした。明治に入り、17戸の信徒は、教会建築費用を捻出するため、慣れない漁業に従事し、共同生活をし、一日の食事を二回にするなど節約に努めます。こうして集落全員の苦労の末、悲願の野首教会が完成します。小さいながら、とても美しい教会で、世界遺産の暫定リストに追加されました。

もう一つの野崎島のキリシタン集落、舟森のはじまりは1840年頃だといわれています。このころ小値賀島の舟問屋・田口徳平治が大村藩の外海を訪れると、悲しそうに海岸にたたずむ三人の男(親子?)に出会います。話を聞くと彼らは隠れキリシタンで、翌日には処刑される運命にあるとのこと。徳平治は気の毒に思い、彼らを船底の漁網に隠し小値賀に連れ帰り、無人だった野崎島の舟森に住まわせたということです。この三人が舟森の最初の移住者で、その後、久賀島や奈留島などからもキリシタンの移住者がやってきて、もっとも多いときには150人を超える集落になったということです。

戦後の高度成長期、島の住民は次々と島を離れ、平成13年に無人の島となります。悲しい歴史を持つこの島には、手つかずの豊かな自然が残されています。原生林が広がり、数多くの動植物の宝庫となっています。400頭の野生鹿が生息することでも有名です。

野崎島は無人島ですが、町営船が毎日運航されていて、渡ることができます。残念ながら、今回、私たちは、時間がなくて、渡ることはできませんでした。

庭には池もあり、落ち着いた雰囲気です。

昔の趣がそのまま残されています。さすが豪商の華やかさが、いたるところに見られます。

これは、殿様専用の玄関。

昔の漁具。晋作さんが指さしているのは、網を縫うための針。

ゆっくり一時間半ほど、この旧小田家の歴史民俗資料館で過ごしたあとは、小値賀島の観光めぐりにレッツゴー!!

小値賀島は、車で一周30分ほどの小さな島。レンタサイクルやレンタカーで足を延ばせば、たっぷり名所を巡れます。

私たちは、一日4000円で、8人乗りのレンタカーを借りました。レンタサイクルは、6時間500円で借りれます。

まずは、ポットホール

海に鳥居。小値賀島を歩いていて感じたのは、鳥居が多いということ。島のあちこちにいろいろな鳥居がありました。

さあ、この碑の下に、黒い溶岩(玄武岩)の裂け目にできた大きな穴があります。覗き込んでみると・・・・・

直径50センチの大きな玉石。手を伸ばしても届かない・・・。長年、この穴の中で、荒波にもまれ、このような形になったのでしょう。両手を伸ばして、パワーをもらってきました。

ちょっと寂しい、荒涼とした景色です。

こんな感じの溶岩がゴツゴツ。

島の高校生3年生と先生が釣りに来ていました。映画を撮るとのこと。卒業記念作品でしょうか・・・。気持ちのいい高校生でした。高校を卒業すると、ほぼ全員が島を出ていくそうです。島には、仕事がないのです。

島のあちこちに、このような道案内看板がありました。統一されていて、とても見やすくて、旅行者にはとても助かる看板でした。

さあて次は、神島神社

海から続く鳥居の先に神社。

この鳥居の先の海の向こうに見えるのが野崎島。

神島神社は、この小値賀島と、対岸の野崎島と、2つ対になっています。小値賀島の神島神社は、地ノ神島神社(ちのこうじまじんじゃ)といい、野崎島の神島神社は、沖ノ神島神社(おきのこうじまじんじゃ)といいます。

704年 (慶雲元年) に、小値賀島の地ノ神島神社から分祀して、野崎島の沖ノ神島神社が創建されました。この二つの神社の間の海を遣唐使が通ったということから、遣唐使の安全を祈願する意図があったものと言われています。

これは、野崎島の沖ノ神島神社にある王位石(おゑ石、おえいし)と呼ばれる巨大な盤座。頂上までの高さ24m、両柱の端から端までの幅12m、頂上テーブルの広さ5m×3mという非常に大きなもの。自然の産物か人の手によるものかその成り立ちはいまでも謎ということです。野崎島は、対岸の小値賀島から見ても、勾配の急な島。一体どのようにして、この巨岩を運び、このような形に建てたのでしょう? 神秘です。

つぎは、赤浜海岸。その名の通り、赤い浜。火山活動の影響で酸化鉄が多く含まれているため、赤い石、砂となっています。

島の主な観光地を巡り、お腹もすいてきました。夕飯は、ふたたび「ふるさと」。お店のご主人ともすっかり仲良しになって、我が家に帰ってきたみたい。

またまたお刺身。一切れの大きいこと!!お刺身でお腹がいっぱい!!飲んで食べて、いろいろあった一日のことを語り合いました。

この日に、身にしみてわかったことは、この島には、深い歴史と物語があること。それがロマンティックに語り継がれているということ。歴史が景色の一部になっていること。人々が、深い歴史の延長線上に生きているということ。それが、訪れる人を魅了してやまない。

私たちの西海市、雪浦にも、深い歴史や物語があります。雪浦には、国内最大規模ともいわれるホゲット石鍋製作遺跡があります。遠く外国までこの石鍋は運ばれていたといいます。1331年に築かれた美しい石垣が残る鳥越城跡があります。山の中に脈々と続くししがきがあります。海岸には、珍しい翡翠があります。美しい川、山、豊かな海。 ・・・・私たちにも、ロマンティックに語れる歴史と物語がある。

ここに、これからの私たちに出来ることが、一つ見えたように感じました。

桟橋をゆっくり歩いて本日の宿、古民家「鮑集(ほうしゅう)」へ向かいます。

 

小値賀島へ 雪浦8人旅・・・その1:小値賀島の歴史と自然を中心に」をここまで読んでくださって、ありがとうございます。ここまでは、小値賀島の歴史・自然を中心に書きました。その2では、いよいよ、小値賀島が観光の島として輝いているその理由と、多くの移住者を迎えるまでに至る活動の歴史を探ってみたいと思います。


ゆきや

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